日刊競馬コラム
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日刊競馬で振り返る名馬
ウイルデイール
(1970年・菊花賞)

◎ウイルデイールの時代

 
レース柱(683KB)

  ウイルデイール(1958~1961)

 1958年というと、46年前になるわけであり、日刊競馬の社内でも、ウイルデイールを知るものは少なく、もう何年も原稿を書いていない、私にお鉢が回ってきた次第です。その私にしても、当時、トラックマンをしていて、ウイルデイールを見ていることは間違いないはずですが、特に印象に残るという馬でもなく、記録をたよりに記述するしかないという状態です。バックナンバーも残っておらず、特別復刻版として、馬柱を掲載してきているシリーズですが、今回はどうするのだろうか。おそらく困っているはずです。当時、日刊競馬は、タブロイド版、4ページで、定価は10円でした。

 ウイルデイールが競走馬として活躍したのは、1958年から、1961年にかけてで、22戦9勝している。当時の世相を、年表で簡単に振り返ってみよう。

 1958年 2月-45代横綱に若乃花。4月-売春防止法施行。4月-長嶋茂雄プロデビュー、金田正一投手に4打席4三振。9月-狩野川台風、中伊豆を襲い、死者1189人、家屋全壊流失1044戸。11月-皇太子明仁と正田美智子の婚約発表。

 競馬界の出来事 日本競馬界の発展に尽力した功労者、安田伊左衛門氏が、5月18日に逝去。85歳。ハクチカラ、アメリカ遠征。主要レース勝ち馬 皐月賞・タイセイホープ、ダービー・ダイゴホマレ、菊花賞・コマヒカリ、桜花賞・ホウシユウクイン、オークス・ミスマルサ、天皇賞(春)・オンワードゼア、天皇賞(秋)・セルローズ、有馬記念・オンワードゼア。

 1959年 3月-朝汐、46代横綱に。4月-皇太子御成婚。9月-伊勢湾台風、中部地方を襲い、死者5041人、被害家屋57万戸と明治以来最大の被害。11月-総評安保統一行動で、デモ隊2万人が国会に突入。

 競馬界の出来事 ハクチカラ、アメリカで重賞勝ち。種牡馬ナスルーラ死亡。これまで、5分の1秒単位で表示されていた競走タイムが、この年の第4回東京競馬、および第5回京都競馬から10分の1秒単位で表示されることになった。主要レース勝ち馬 皐月賞・ウイルデイール、ダービー・コマツヒカリ、菊花賞・ハククラマ、桜花賞・キヨタケ、オークス・オーカン、天皇賞(春)・トサオー、天皇賞(秋)・ガーネツト、有馬記念・ガーネツト。

 1960年 1月-新安保条約調印で、岸首相ら米国へ出発、全学連羽田闘争、1月-三井三池無期限スト、ロックアウト。5月-自民党は新安保条約を単独強行可決。国会空転、連日の国会デモ。6月-安保阻止統一行動、全国で580万人が参加、右翼がデモ隊に殴り込み。全学連国会突入で、樺美智子死亡。8月-ローマオリンピック。10月-浅沼社会党委員長、右翼少年に刺殺される。10月-大洋ホエールズ、日本シリーズ優勝。前年最下位から日本一は史上初、「三原魔術」と称賛される。

 競馬界の出来事 新人騎手、加賀武見58勝、これは、新人史上最多の記録。種牡馬ハイペリオン死亡。バリヤーによるスタートが行われてきていたが、この年からウッド式発馬機が導入され、使用されることになる。主要レースの勝ち馬 皐月賞・コダマ、ダービー・コダマ、菊花賞・キタノオーザ、桜花賞・トキノキロク、オークス・スターロツチ、天皇賞(春)・クリペロ、天皇賞(秋)・オーテモン、有馬記念・スターロツチ。

 1961年 1月-ケネディ大統領に就任。4月-ソ連ボストーク1号で、ガガーリン少佐地球1周飛行・「地球は青かった」。8月-東独、ベルリンの壁を構築。9月-室戸台風、近畿を襲い、死者202人、9月-大鵬と柏戸、ともに横綱に昇進。

 競馬界の出来事 ヒンドスタン、初のリーディングサイアーに。最多勝ジョッキー蛯名武五郎引退。馬体重の発表始まる。主要レースの勝ち馬 皐月賞-シンツバメ、ダービー・ハクシヨウ、菊花賞・アズマテンラン、桜花賞・スギヒメ、オークス・チトセホープ、天皇賞(春)・ヤマニンモアー、天皇賞(秋)・タカマガハラ、有馬記念・ホマレボシ。

◎ウイルデイール
1959年、年度代表馬に

 ウイルデイールは、1958年から1961年にかけて、競走生活を送っているが、もっとも活躍したのは、4歳時の1959年で、この年11戦して、6勝している。いまでいうGI勝ちは、皐月賞のみだが、4歳特別、新春カップ、NHK盃、京都杯、クモハタ記念と特別レースばかりの勝ち星である。ダービーでも、皐月賞、NHK盃(当時は、距離も2000メートルでダービーの前哨戦という性格のレースだった)に勝っているだけに、人気を集めていたが、あいにくの雨で、不良馬場となり、持ち味を発揮できず、道悪巧者のコマツヒカリの15着と敗退している。

 この年、天皇賞(秋)、有馬記念といまでいうGIレースを2勝しているガーネツトがいたが、年間を通して活躍したことと、大型馬で豪快なレースぶりを見せており、そのスケールの大きさを買われたのか、4歳の代表馬とともに、年度の代表馬に選出されている。なお、この当時、年度の代表馬の選考は、啓衆社の主催で行われていた。

 皐月賞に騎乗した渡辺正人騎手は、前の年にタイセイホープで勝っており、翌1960年もコダマで皐月賞を勝ち、皐月賞3連覇を成し遂げている。

 種牡馬としては、産駒にダテテンリュウ(菊花賞)、ダテホーライ(宝塚記念)、ダテハクタカ(阪神大賞典、阪神障害ステークス)等がいる。

ウイルデイール 1956.2.5生 牡・栗毛

競走成績:22戦9勝
主な勝ち鞍:皐月賞
Wilwyn
1948 鹿毛
Pink Flower
Saracen
メードンスグリーン
1946 鹿毛
Straight Deal
Windsor Lady