日刊競馬コラム
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日刊競馬で振り返る名馬
マヤノトップガン
(1997年・天皇賞・春)

◎ライバルに差をつけられた4歳時◎

 
 レース柱(1.20MB)


 3歳時、菊花賞・有馬記念を連勝、4歳初戦の阪神大賞典でナリタブライアンとマッチレースを演じたころには、そんな声は聞かれなかった。

 しかし、4歳春の天皇賞でサクラローレル、ナリタブライアンに引き離され、秋にオールカマー・有馬記念でサクラローレルに完敗すると、それまでのGI勝ち(菊花賞、有馬記念、宝塚記念)は「相手に恵まれた」「展開に恵まれた」のではないか、と言われるようになっていった。

◎最後のレースで見せた驚異の末脚◎

 平成9年春の天皇賞は、サクラローレル、マーベラスサンデーとの3強対決とも言われたが、人気の中心は、前年の有馬記念以来のぶっつけでもサクラローレル。

 しかし、ここでマヤノトップガンは勝利する。

 当時は、その勝利のせいで馬券が外れたため、私の中では悪役となってしまったマヤノトップガン。しかし「わだかまり」も解けた7年後のつい先日、偶然グリーンチャンネルでこのレースを見たら、すごいのなんの。

 直線外からサクラローレル、マーベラスサンデーを抜き去った末脚は、上がり34秒2という数字が残っているが、実際はそれ以上のものだ。

 4コーナー、マヤノトップガンの前には、もう脚の残っていない状態で広がった3~4頭の壁。それを迂回して外に持ち出しているから、サクラ、マーベラスとの差は大きく広がり、まさに、はるか彼方から伸びてきている。

 これだけ差があったら、ふつうはあきらめるだろうに。そうすれば馬券が当たっていたのになあ。ああ、また「わだかまり」が…。

◎引退、種牡馬へ◎

 こんな微々たる馬券の恨みなど気にしない、まっとうな心を持った人々に、7年後ではなくレース直後にその価値を認められたマヤノトップガンは、引退後(この春の天皇賞を最後に引退)、ブライアンズタイムの後継人気種牡馬となった。

 自身と同じようにオールマイティーの産駒を送り出しているが、代表的なところをあげてみると、バンブーユベントス、チャクラ、プリサイスマシーン。やはり長い距離がいいのだろうか。

 サクラローレル産駒サクラセンチュリーは間に合わないかもしれないが、今、勢いナンバーワンのマーベラスサンデー産駒シルクフェイマスと、春の天皇賞での対戦が見られるかもしれない。

 そしてもし、そのときマヤノトップガン産駒の馬券を買っていなかったら(トップガンそのものではなく子供なのだから大丈夫だとは思うが)、念のため、4コーナーでお願いしておこうかな。

 「あんな脚だけは、使わないで下さい」

マヤノトップガン 1992.3.24生 牡・栗毛

競走成績:21戦8勝
主な勝ち鞍:
菊花賞、有馬記念、宝塚記念、天皇賞・春
ブライアンズタイム
1985 黒鹿毛
Roberto
Kelley's Day
アルプミープリーズ
1981 栗毛
Blushing Groom
Swiss