毎週金曜更新
2005.09.23

 水曜夜の、いつもの夕食兼宴会。
「秋の番組改編だかなんだか知らねえけど、ろくなテレビやってねえな。だからと言って、いくら困ったって草野球(巨人戦)を見るわけにはいかねえしなあ」
 私と同じくテレビ好きの岡本TMが嘆く。確かに新聞のテレビ番組欄を見ても興味を引かれるものがない。昼寝もできなかったし、早めに寝るかと部屋に上がってなんとなくテレビをつけると《タモリのジャポニカロゴス》というのが映り、何となく見てしまった。その番組の中の、鹿児島弁のコーナーでのこと。
 《チンチンボッボサルッモソ》とは、どういう意味でしょう? という質問。確か、隣の熊本あたりでは《ボボ》というのはタブーの言葉で、私が子供の頃のプロレス中継で「青コーナー、250パウンド、ボボ・ブラジル〜」とリングアナウンサーが叫ぶと、その地方のテレビの前では何千人もが驚き、喜びひっくり返ったと聞くだけに、似てはいてもその《ボボ》と《ボッボ》はおそらく全く違う意味だろうということは分かるが、意味は見当もつかないでいると
 『もっとゆっくり歩きましょうよ』という意味だそうだから驚いた。
 もうひとつついでに《ヨカキンポコ》は、『上機嫌』だそうだ。聞くところによると、鹿児島弁は津軽弁と並び、難解な方言の双璧らしい。
 オジャッタモンセ(音無厩舎、牝2)という馬名も、何となく鹿児島弁だろうと思っていたが、確信はないし意味も分からない。そこで熊本出身のトラックマンに聞いてみたところ
「鹿児島弁ですか? だったら分かりません。熊本と鹿児島では全く言葉が違うんです」
 とつれない。こうなったら、郷原師に聞くしかない。
「先生、オジャッタモンセってどういう意味ですか?」
「おお、確か小田切さんの馬だよな。いらっしゃい、の丁寧な言い方だな。ようこそいらっしゃいましただな」
 やはり、鹿児島弁であった。テイエムオペラオーの竹園氏が所有する現役の競走馬の中にも、鹿児島弁であろう意味不明の名前がいるので、ついでに先生に聞いてみた。
「TMミゴテカは?」
「綺麗、美しいだな」
「TMムゾカ?」
「そりゃ、可愛いってことだな」
「TMヒットベ(日曜阪神の神戸新聞杯出走)は?」
「そんな名前もいるのか。思い切って跳べとか、高く飛べとかいう意味だけどなあ」
「はあ…。まるで分かりませんね。有難うございました」
「鹿児島弁てのはよ、方言そのものも変わってるんだけど、隠語も多いんだ。薩摩藩が、地元の人間とよそ者を会話で区別できるようにわざと難しくしたんだな」
 なるほどなあ。う〜ん勉強になった、たまがった『驚いた』。日曜札幌の3レースにテイエムタマガッタという馬が出ているが、これが勝ったら皆たまがってしまうなあ。ちなみに、驚いて玉が上がるから→玉上がる→たまがるになったという説もあるそうです。

文・TM矢沢正弘