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2005.02.18

 こいつが現在のJRAではNo.1の穴男ではないか、と以前から思っていたのが武士沢騎手だが、某競馬雑誌の『2004年度、全騎手データ分析』というのを眺めていたら、数字でこれが立証されていた。
 単勝の平均配当はトップジョッキーほど低くなり、回収率も悪くなり、騎乗数に恵まれないジョッキーほど大きな数字になる。そこで、昨年10勝以上のジョッキーに限って単勝回収率が100%を超えた者を探してみると関東では田中勝、松岡、ホワイト、大庭、武士沢の5人。やはりというか、この中でも武士沢騎手の回収率が一番で約170パーセント。単勝の平均配当3754円もぶっちぎりの一位であった。
 今年も穴馬券を連発している。5日の東京1レースが単勝2380円、同日の6レースが940円。10日の大井競馬の交流戦では14頭の12番人気で単勝5410円と面目躍如。
「相変わらず、人気薄で言わせてますねえ」
 と褒めると
「またバカにしてえ。矢澤さん言ってたじゃないですか、人気の馬で来ないとダメだって。なかなか人気の馬に乗せて貰えないんだから僕なんか」
「そうだよ〜ん。人気に乗って、キッチリ持ってこないと一流じゃないよ〜ん。でも君は凄い! 何だか分からないけど馬が走る。それに君が『いいものもってますよ』とか『走ってきますよ、そのうち』とか言っていた馬は必ずといっていいくらいに、そのうちに走る。大したもんだ」
「でしょでしょ。えへへへ」
 3連勝の快進撃で京都記念に挑むトウショウナイト。デビュー2戦目で未勝利を勝ってから長い低迷があったが、
「この馬は体質が弱くて、まだ力を出せないでいるけど、パンとすれば必ず走ります」
 と2歳の秋から彼が力説していた馬。トモに力がない、腰が甘い、歩様が硬い、カイバ食いが悪い…いろいろ聞かされてきたが、すべてが解消しつつあるらしい。
「先々週、四位さん(騎手)が東京に乗りに来たときに、『お前、京都記念に乗りにくるらしいな。俺(シルクフェイマス)に勝てるとは思うなよ』って言われちゃった。四位さんには北海道でいつもこんなふうに牽制されてるから気にしてないけど、やっぱりシルクフェイマスは強そうだなあ」
 本格化以前のものではあるが、トウショウナイトは速い時計の競馬に実績がないことが弱み、死角。しかし福来り、予報は雨。
「馬場が渋れば面白いなあ。武士、シルクフェイマスは道悪うまくないぞ」
「分かりました。僕の馬はうまいですよ」

文・TM矢沢正弘