HOME > 日刊競馬で振り返るGI > 1993年ヤマニンゼファー
 
安田記念・ゴール前 題字
GI復刻版 1993年5月16日
第43回安田記念
馬柱をクリックすると別ウインドウで開き大きな馬柱を見ることができます。
馬柱  強すぎる馬が圧勝すると、勝ちに行った他の人気馬が失速してしまい、勝ちに行かなかった人気薄が2着に来ることはよくある。今年の皐月賞がそうだった。スペシャルウィークもよく(馬連の)万馬券を出した。歴史的名馬は「順当に」勝ちながらも馬券を「波乱」に導く。

 ヤマニンゼファーは安田記念を連覇しているが、2回とも馬連は万馬券だった。

 1勝目(1992年)は自身が11番人気。それもそのはず、それまでに芝(経験2回)で勝ったことがない馬だった。しかし、人気がなかっただけで内容は横綱相撲。好位から早めに先頭に立ち、4コーナー11〜13番手の馬が2〜5着に来るような激しい流れを押し切った。2着カミノクレッセは直前に天皇賞(春)2着。なおかつ1600mでは未勝利だった馬で、直前にGIで2着していながら「距離不足」を懸念されて5番人気に過ぎなかった。しかし、ヤマニンゼファーが厳しい競馬に持ち込んだため、1600mでは短く春の天皇賞で走れるような馬のスタミナが生きた。

 1番人気ダイタクヘリオスは先行して6着。前年の安田記念2着、マイルCS1着。そしてこの年もマイルCSは勝つ名マイラーがヤマニンゼファーに沈められた。

 翌1993年は2番人気での勝利だったが、その内容は“横綱相撲”どころではなかった。2番手から早めに先頭に立ち、挑んでくるライバルたちをバッタバッタとなぎ倒してゴールに向かう様子は、まるで時代劇の殺陣シーン。「勝負」を挑んだ馬たちは軒並み沈められてしまった。  2着は4コーナー13番手にいたイクノディクタス。前年に続き、先行して勝ちながら2着に追い込み馬を連れてきた。

 イクノディクタスはそれまで1600m未勝利だった馬で、直前に天皇賞(春)に出走していた馬。前年のカミノクレッセと似たパターンだが、カミノクレッセと違って天皇賞で凡走(9着)していたため、さらに人気がなく14番人気。馬連は68970円という、特大の万馬券となった。

 この時の1番人気は前年の桜花賞馬ニシノフラワー。桜花賞以外にも阪神3歳牝馬S1着、チューリップ賞2着(騎乗ミス)、マイラーズC1着と、1600mの重賞では抜群の成績を誇っていたが、10着に沈んだ。前年のダイタクヘリオスと同じで、「マイル実績」がある馬は、ヤマニンゼファーが作り出す激しい流れの東京1600mでは凡走してしまうのだった。

天皇賞(秋)・口取り  ヤマニンゼファーはこの年、秋の天皇賞も勝つ。1000m通過58秒6というツインターボの逃げを楽に交わして先頭。中団から脚を伸ばしてきたセキテイリュウオーとビッシリ叩き合いハナ差の勝利だったが、どこまで行っても差されはしないだろうという貫禄の勝利だった。

 この時も人気はなかった(5番人気)が、東京1600mのGTを正攻法で勝つ馬が「2000mは長い」ということはない。これを裏返すと、中距離でも走れる馬でなければ東京1600mのGIを勝てない。今年のNHKマイルCのような信じがたいスローになれば必ずしも当てはまらないが、それは3歳限定戦でのこと。古馬の安田記念では「1600mが上限」という馬が勝つ確率は非常に低い。

 今年は香港から最強スプリンター・サイレントウィットネスが参戦。前走、初の1600mでデビューからの連勝記録がストップしたが、こういう馬(スプリンター)に勝たれると“東京1600m”の沽券に関わる。迎え撃つ日本馬には頑張って欲しい。
[大川 浩史]

☆第43回安田記念 優勝馬☆
ヤマニンゼファー 1988.5.27生 牡・鹿毛
ニホンピロウイナー
1980 黒鹿毛
スティールハート
1972 黒鹿毛
Habitat
A.1.
ニホンピロエバート
1974 鹿毛
チャイナロック
ライトフレーム
ヤマニンポリシー
1981 栗毛
Blushing Groom
1974 栗毛
Red God
Runaway Bride
ヤマホウユウ
1968 黒鹿毛
ガーサント
ミスタルマエ
 



馬主………土井 肇
生産牧場…新冠・錦岡牧場
調教師……美浦・栗田 博憲

通算成績 20戦8勝[8.5.2.5]
主な勝ち鞍 安田記念(1992、93年)
天皇賞(秋)(1993年)

受賞歴 JRA賞
最優秀5歳以上牡馬
最優秀短距離馬
最優秀父内国産馬
(以上全て1993年)

全成績はこちら


1993年5月16日
第43回安田記念(G I) 東京・芝1600m・良
[7]14ヤマニンゼファー牡657柴田 善臣1.33.5
[3]イクノディクタス牝755村本 善之1.1/4
[4]シンコウラブリイ牝555岡部 幸雄ハナ
 上がり 47秒3−35秒8
単勝 540円  複勝 180円 1760円 180円
枠連 3−7 9830円 馬連 6−14 68970円