『イフタフ・ヤー・シムシム』(毎週土曜更新・2008.05.24)

 先日、ちょっとしたフレーズ(仕事絡み)を考えていて『開けゴマ』というフレーズが浮かんだ。何に使うフレーズで何故に開けゴマが出てきたかは、内緒である。都合よく言えば企業秘密、本心を言えば、ただただ恥ずかしい。
 フレーズとしてはまったく使いモノにならなかった『開けゴマ』だが、何で開くのがゴマなのか気になって仕方がなくなった。アラビアンナイト(千夜一夜物語)の『アリババと40人の盗賊』で出てきた呪文(合言葉?)だよなぁ、ぐらいは分かる。でも何故にゴマ?
 調べてみると、英語の『Open Sesame』を直訳してしまって『開けゴマ』としてしまった(いわゆる誤訳)、という説を信じている人が多いようだ。が、もともとアラビアンナイトはパフラビー語で書かれたもの。それがアラビア語に訳され、世界へと広まった。そのアラビア語では『iftaH ya simsim』。『イフタフ ヤー シムシム』と読むらしく、イフタフ=開け(動詞の命令形)、ヤー=やあ(呼びかけ)、シムシム=ゴマである。誤訳説が正しいとすれば、アラビア語を英語(または日本語)に訳す時に間違った、が正しいのかもしれない。

 がしかし。ドイツでは『Sesam oeffne dich』と言うらしく、訳すと『ゴマよ開け』。中国では『芝麻 開門』でやっぱり『開けゴマ』。世界各国みんながみんな訳を間違えたという可能性もある(それはそれで面白い)が、チトこの誤訳説は怪しい印象。
 で、実は最も有力な説は別にあって、ゴマの種が弾け出る様(さま)に由来する、というもの。
 ゴマの種が弾け出る様を見たことのない中西には、どうもピンと来ない話。それに曖昧だ。納得しかねる。だいたい誰か作者に確認しようとは思わなかったのだろうか。出版当時のことを勝手に想像すると、本を読んで『ああ、ゴマが弾け出る様を呪文に使ったんだな』とみんなが分かるとは思えない。何故、聞かなかったのか。そこには聞く必要のない理由があったはず。そこで中西が支持したい説が『当時、ゴマは性的な意味を持っていた』というもの。ゴマに性的な意味があった、ということ自体は確かな事実のようで、『開けゴマ=性的説』を支持すれば後々になって『あーだこーだ』と説が飛び交ったことも納得できる。当時読んだ人たちが『あ〜、下ネタなのね…』と理解していたとしたら、そんなことを作者に確認などしない。くだらないから。
 でも中西はこの説を声を大にして言うつもりはないのだ。だってさ、世界中の子供たち(大人も?)が『開けゴマ!』と場面場面で叫んでいるんだもの。それを『それ、下ネタだよ』なんてとても言えません…。

 では『開けゴマ』のフレーズが浮かんでしまったオークスの予想へ。
 レッドアゲート、ソーマジック、リトルアマポーラの3強という構図に異論はない。でもさすがに今年3強がまるまる1〜3着に収まるなんてとてもじゃないが想像できない。それでも1着予想は3強からリトルアマポーラ。1月京成杯での4着を評価したい。府中のクイーンCを勝っているのも心強く、距離延びたここで主役に。
 2着は3強を外して、前走が切れに切れたアロマキャンドル。その前走、追い込みが届いたというレベルではなく力が違っていた。まさに並ぶ間もなく、だった。もともと持っている力は遜色ないと思っていただけに力関係の不安もない。オークスはスローペースでも差し・追い込みが届くレースだと思っているので展開も気にしません。
 3着は再び3強からソーマジック。桜花賞で1番強かったのはやはりこの馬。崩れないタイプでもあり、この時期にきて本領を発揮してきたシンボリクリスエス産駒というのも実に怖い。リトルとアロマには残念ながら負けてしまうのだが、泣く泣く切ったレッドアゲートには勝って(←願望です)3着。